建設コンサルタントは人々の支えとなる社会資本を整備することが目的である。社会資本整備には意義のあるものとそうでないものがある。住民の利益となるもの、本当に意義のあるものを作ることは建設コンサルタントの本来の役割であり、建設業者と建設コンサルタントを区別させる要素でもある。言うまでもないが、建設業は政府の経済政策および政治動向に依存する。国民のためにより良い政策を導くことは建設コンサルタントの役命と考えられる。
安全で快適な社会基盤を築くためには、道路・鉄道・空港・港湾などの交通基盤施設、電話・衛星通信・コンピュータ通信を支える光ファイバーネットワークなどの通信基盤施設、上下水道・都市公園・教育・文化・福利厚生施設などの生活基盤施設、河川・砂防・海岸などの国土保全防災施設、石油・ガス・電力の生産および供給するエネルギー関連施設、農林漁業基盤施設、工業団地・オフィス街等の生産基盤施設などを整備する必要がある。本来ならば上述した全ての施設の構築・改善および補修することが求められているが、どの施設を先に整備すれば国民の利益に繋がるかが重要である。経済成長が熟期に入った日本は社会資本整備がほぼできているので新しく建設する公共事業がほとんどない。その代わりに、今まで建設した施設の保全・補修事業が求められている。60年代の東京オリンピックのために多くの公共施設が建設されるが、新耐震基準に満たされない建物は少なくない。近年では、公共施設でも入札契約制度が導入され、従来の提案型建設コンサルタントに加え、公共事業における技術審査・判断を中心とした川上領域、施工段階のおける管理・監督業務、累増するストックの維持・補修・管理業務も求められる。
このように建設業は国の政策に依存する。これに応えるためには、費用対効果、国民の今後の発展のあり方まで考慮できる、柔軟な考え方を持つ技術者が求められる一方で、技術力を武器に国の政策を誘導できる技術者も必要と考えられる。
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