Best of the Best,in the Best.What you posses is your property.Concrete Shell is my Study.

Thursday, June 21, 2007

アルマゲドン

1. 話し筋

 アメリカ東部標準時間午前449分、スペースシャトル<アトランティス号>が宇宙で消息を絶った。その1時間後、何の警告もなく小隕石群が東海岸を襲った。この天災はこれから起きる前触れに過ぎなかった。同じ頃、NASAの総指揮官ダン・トルーマンのもとには、驚くべき報告がもたらされた。テキサス州ほどの大きさの小惑星が時速22,000マイルで接近しているというのだ。小惑星の衝突は人類滅亡を意味する。残された時間はわずか18日。NASAはその前に「グローバル・キラー」を撃退する方法を見つければならない。この緊急事態にトルーマンはすぐさま科学者達を召集、小惑星衝突回避のアイディアを求めた。その会議の席で、小惑星の地中深くに核爆弾を埋め込み、爆破によって軌道をそらせる案が出される。それを実行するには、未知の惑星を240メートルまで掘り下げられる掘削のプロが必要だ。そこでハリー・S・スタンパーの名が上がる。彼は30年に及ぶキャリアの中で一度もミスを犯したことない伝説の男だった。トルーマンはハリーに驚愕の事実を明かし、地球滅亡のチャンスをハリーが握っているのだと語る。衝撃を隠しきれないハリーだが、選択の余地は残されていなかった。決意を固めたハリーはトルーマンにひとつだけ条件を出す。それは自分たちの仲間を同行させること。危険極まりない任務をやり遂げるにはプロ中のプロの腕と、長年培われたチームワークが必要だからだ。ハリーの意向を受けて早速メンバーが召集される。ハリーの右腕的存在チック、学者並の頭脳を持つロックハウンド、凄腕のドリラーマックス、巨漢のバイク野郎ベアー、地質に詳しいテキサス男オスカー、タフでワイルドなヌーナン、そしてもう一人、ハリーの娘グレースの恋人A.Jもチームに呼び戻された。ハリーを交えた8人は即席の宇宙飛行訓練を受け、旅立ちの日に備えた。前途に多くの不安を残しながらも、予定された訓練はすべて終了し、旅立ちの時が迫っていた。グレースはハリーに必ず恋人のA.Jと一緒に帰還するよう約束させる。フリーダム号にインディペンデンス号、初の2機のスペースシャトル同時発射も難なく成功し、燃料補給のために、ロシアの宇宙ステーションにドッキング。だがそこで、燃料漏れの事故が発生した。このままでは宇宙ステーションは爆発しシャトルも巻き込まれてしまう恐れがあった。他の宇宙飛行士達は、1人地下で作業をしていて、逃げ遅れたA.Jを残したままシャトルを出発させようとするが、ステーションを守っていたロシア人宇宙飛行士レヴの活躍により、間一でシャトルに乗る移ることに成功する。レヴをインディペンデンス号の新たなメンバーに加えた小惑星破壊チームは、いよいよ小惑星へと向かう。着陸するためには月の引力を利用するのだが、それには乗組員は10Gという圧力に耐えねばならなかった。だがそれは当初から予測できたことなので難なくクリアーした。

 小惑星の着陸地点に向かう間、降り注ぐ隕石が予想以上にすさまじく、インディペンデンス号は機体を破壊され墜落してしまう。予想外の事態の発生で仲間を失った悲しみに呆然とするハリー達だが、着陸地点を大きくそれた彼らも鉄の鉱脈を掘り進むという試練に立ち向かわなければならなかった。早速ハリー達は、アルマジロを使って掘削作業を開始する。が地面が固くいっこうに作業が進まない。ビットは2回も破損し、ついにはトランスミッションまでが破損してしまった。すでに2時間半も経過しており、予定では60メートルまで掘り進んでいなければならないが、17メートルしか進んでいないことを知ったシャープ大佐は、核爆弾を埋めずに爆発させるという「軍の第2案」作戦を実行に移そうとする。一方地球では、この「第2案」に伴う核爆弾のタイマーを巡って、作動させようとするキムジー将軍と、止めようとするトルーマンが争いを繰り広げる。急に核爆弾のタイマーが作動したことにより、この不穏な動きに気づいたハリーが大佐を説得させ、「第2案」をなんとか止めさせる。再び掘削作業が開始された。しかし地表はいたるところからガスが噴火する温泉状態になっていた。掘り進んだ穴からもガスが噴出。アルマジロが吹っ飛び、乗っていたマックスが命を落とすアクシデントが発生した。そのとき、丘の向こうに死んだと思われたA.J達を乗せたもう一台のアルマジロが出現した。A.J達のアルマジロを使い掘削作業を再開した。A.Jの怒濤のがんばりで掘削作業はどうにか目標の240メートルに到達した。あとは穴の中に、核爆弾を設置するだけだ。しかし、その間にもガスの噴射は激しさを増し、降ってくる隕石の量も多くなる。それはまるで、破壊されること知った小惑星が怒り狂っているかのようであった。やがて周囲の岩も崩壊し、なんとか最後まで任務をやり遂げようとするハリー達。ところが作業終盤で起こった隕石の雨で核の遠隔爆破装置が壊れてしまった。くじの結果,AJが残って爆破することになった。エアロックでAJを送りに出たハリーは,AJの宇宙服のパイプを抜いてエアロックに戻し,自分が爆破に向かった。シャトルはエンジンが点火せずあわてたが,レヴが「ロシア流」と称してレンチでたたくと動き出した。シャトルが脱出後,小惑星は爆発。そして地球は救われた。

2. 文化的背景

 小惑星の地球接近が、僅か18日前になって発見されるという映画の設定は当時のアメリカの様子を描いているような乱暴な設定になっている。また、このミッションに使用される2台のスペースシャトルは「フリーダム(自由)」と「インディペンデンス(独立)」である。このスペースシャトルの名はいかにもアメリカという感じである。

 地球周回用に造られたシャトルが月の向こう側まで行くためには、途中で燃料の補給が必要なため、周回軌道にいるロシアの軌道ステーションに立ち寄り、まるで、セルフサービスのガソリンスタンドのごとき仕方で、「燃料」を補給してしまう。しかも、給油途中に事故が起こって、ロシアのステーションは大爆発し、命からがらドッキングを解いた2台のシャトルには、酔っぱらい口調のロシア人宇宙飛行士まで乗り組んでしまったその映画の設定はアメリカとロシアの冷戦が終結していることを改めて示している。

3. 映画の見所

 小 惑星襲来が判明する「起」の部分では、うまく話のデカさを印象づけ、ハリーのチームが招集され宇宙飛行士としての訓練を受けて打ち上げられる「承」の部分 では、アメリカ映画らしいものを示している。そして、それを受けたクライマックスからラストシーンまでの「結」の部分では、登場人物の個人的な好き嫌いを捨てて娘との約束を果たそうとするハリーの行動が素敵でした。ところが、打ち上げからクライマックスに至る「転」の部分については、次から次へと危機の連続で、スリルが好きな人はこの映画がお勧めである。

 又、80年代と90年代の「見るべき映画25作」に選ばれている(1)ので、80年代のアメリカン的なものを理解しようとするものには絶好の一作である。

<参考文献>

(1) アンドリュー・コリンズ氏:イギリスの雑誌「ラジオ・タイムズ」の「見るべき映画25作」http://cinematoday.jp/page/N0008716

0 Comments: