1. 話し筋
一人息子を「まっとう」に育てようとする母親が 小学校の校長に強く頼みこんだお蔭で、知能指数が70ほどで足が不自由なフォレストは普通の小学校に入学する。母親が見送り、初めて乗ったスクールバスの中では誰も座席を空けてくれない中、心優しい娘ジェニーが私の隣にどうぞと声を掛けてくれ、それ以来二人は仲良しになった。ジェニーもアルコール中毒の父親と二人暮しで寂しさがわかる女の子だった。ある日、待ち構えていたようにいじめっ子たちに石をぶつけられ虐待されて逃げ惑うが、そばにいたジェニーが「走って逃げて」と叫んだ後、彼がよちよち走り出すと足の保護具が外れた瞬間、彼の足の機能は奇跡的に回復し、自転車の悪がきたちが必死に追っても追いつけないほどの速さになっていた。足の速さを武器にフォレストは大学に進み、アメリカンフットボールの選手となり、走り方は滑稽だが大活躍する。いろいろ不思議な出来事のなかで、白人の大学に黒人の入学が認められたことを当時のビックイベントでした。
大学時代はフットボールばかりだったが、フォレストは全米チームの選手に選ばれ、ホワイトハウスに招待された。フォレストは5年で修士号まで取得し大学を卒業すると、陸軍に入隊し持ち前の忠誠心で軍曹教官どのの心象もいいものであった。一方、ジェニーは大学を除籍されたが、彼女の夢であるジョーン・バエズのようなフォークシンガー、裸同然で歌う歌手だった。ベトナム戦争に駆り出されると、フォレストはダン中尉の下で仲間と戦線を進んでいく。ある日、部隊が総攻撃に遭うと、ジェニーの忠告「どこまでも走って逃げるのよ」を守り、自分の身を助けるのみならず、ダン中尉をはじめ同僚の命も救う大活躍した。負傷して、野戦病院に入ったフォレストはジェニー宛に出した手紙が「差出人不明」で大量に送り返されてきたが、仲間が教えてくれた卓球に励んだ。一方、先祖代々軍人で、名誉の戦死を望んだ中尉は両膝下が無くなってしまった状態で生き残ったことを嘆く。ある日、上等兵になっていたフォレストに「名誉勲章」が贈られると決まったが、ダン中尉は送還された後だった。米国に帰国したフォレストは、ジョンソン大統領から「名誉勲章」を贈られた。ある日、ワシントンの町を見学すると、そこは反戦集会の嵐、リンカーンメモリアルの前の舞台に上げさせられ戦争の記憶を披露すると、大観衆の中から集会に来ていたジェニーと再会し、二人は抱き合う。しかし、戦争反対主義を貫くジェニーは 彼と故郷に戻ることはしなかった。別れ際、フォレストは彼女の首に「名誉勲章」を掛けた。卓球の腕が優れていたフォレストは政府の卓球友好団員に指名され、中国や共産圏の国の選手と親善試合を行う重要な任務を終え、帰国した。新年のニューヨークでダン中尉に再会、彼は アルコール中毒で荒んだ年金生活をホテルの一室で送っていた。あの間抜けなフォレストが「名誉勲章」だって~と あざ笑い、酒に荒れる態度だったが、ホテルの部屋で仲の良い女の一人がフォレストのことをおかしいじゃないかとバカにすると、怒って二人とも追放してしまった。ダン中尉にも軍人の名誉は残っていた。
そういう日々の後、フォレスト軍曹に「除隊命令」が届き、軍隊から名誉の撤退をする。故郷に戻って、母に再会した後、彼は 亡き親友バッパのおしえに従い、彼の郷里を訪ね、海老取り船を購入し、海老取り漁を始める。船の名前は ジェニー号。その頃、ヒッピー生活のジェニーは 彼の知らないところで麻薬に溺れた生活をしていた。麻薬に侵され、ビルの屋上から転落しそうになるが、我に返り、恐怖におののいて涙を流した。ある日、フォレストの元にダン中尉が訪ねてくると、彼は一緒に仕事をしてくれることに決めた。かつてフォレストが船長になったら、ダンが航海士になると言った事を守った。最初のうち、ダン中尉の的確な勘を頼りにしても、漁は上手く行かなかったが、嵐の夜、多くの船が難破する中で、一隻だけ難破しなかったフォレストの船が残り 海老取りの商売は大成功を収めた。母親が亡くなった後、海老取り漁はダン中尉に任せ、会社は順調に大きくなり、船も増えていった。大金持ちとなったフォレストは、地元の教会や病院、学校などに多額の寄付をし、バッパの遺族にも大金を贈り、悠々自適の生活を送っていた。ジェニーが フォレストの家を訪ねてきた。散歩しながら、いっぱい話をした。フォレストがジェニーに求婚した夜 二人は結ばれるが、翌朝 ジェニーは 彼の家を発つ。フォレストは前に向かって走り出し、いつの間にか、走り続けて3年半、広大な北アメリカ大陸を4往復半横断していた。夜空の星のように輝く夕方の海、青空を映す透明な湖など、美しい風景を見つづけた。ある日、届いた手紙は ジェニーからだった。彼女の家に会いに行くと、小さな子供がいた。その名はフォレスト、彼の子供だった。彼らは故郷に戻り、結婚式を挙げた。ダン中尉も祝福に駆けつけた。それからしばらくして、病に侵されたジェニーが死んで、フォレストは一人で息子を育てていく。昔、彼が母親に付き添われて送ってもらった場所からフォレスト二世は同じようにスクールバスに乗り込む。
2. 文化的背景
アメリカ現代史を飾る知名人たちと、つかの間の出会いを重ねて行くショットの挿入が、この映画の背景に厚みを与えていることは間違いないが、映画に身近な歴史を感じたのは、ガンプとジェニーの生き方の対比を示した。ガンプは全米代表に選ばれるようなフットボール選手として大学を卒業後、陸軍に入隊してヴェトナムに出征し、名誉の負傷を受けて帰国、再び全米代表の卓球選手として活躍する。一方ジョン・バエズのような歌手になって、有名になりたいと願っていたジェニーは、大学卒業後、最初はストリップ小屋まがいのキャバレーで歌手デビューするが、やがてヒッピーみたいな放浪生活を送り、ブラックパンサーなどとも関わった末に、麻薬に手を出し、最後はエイズに罹患して死ぬ。この二つの人生は、当時若者の中で流行りつつある新しい生活スタイルを批判しているものである。
この映画の最後には、ガンプを走らせた。走り続けたガンプを見て、多くの人が彼に付いていくこの設定は、まるで挫折になっているアメリカ人の若者の心に愛国心を降注いでいるようである。
3. 映画の見所
94年にアメリカで大ヒット(96年現在歴代興収成績4位)して、アカデミー賞6部門を制覇した無心に走っているうちに大金持になった男の寓話である。オープニングとエンディングに現れる、1本の羽根をえんえん追いかける魔法のようなショットは当然ながらCGであるが、羽の動きがじつに自然で、周囲の空気の重さまで感じられるぐらい滑らかであった。
主人公フォレスト・ガンプは知能指数が普通の人よりも少し低いので、何でも信じてしまうし、言われたことをそのとおりに忠実にこなす。しかし、自分に優しくしてくれる人をとても大切にするし、一生懸命付き合う。そして誰からも好かれる。又、この映画は米国の時代の流れと その当時 流行った歌の数々、歴史に残る人物の映像と共に非常に 心を温めてくれる。
<参考文献>
(1)K.Hattori瓦版映画:http://www.eiga-kawaraban.com/95/95031102.html
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